05年夏「この子たちの夏」
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▽ロシアの冬は寒いでしょ?
==ロシア国全部のことを語ることは私にはできませんが、モスクワのことならちょっとだけ。
モスクワの冬は、毎日ほとんど氷点下の曇り空で、暗い日が多く、雪の日もあります。でも、時に抜けるような青空の日がやってきて、その日は気温がぐっと下がる、き〜〜〜ん、と冷えた日です。
冬の嵐の日もあるようです。でも、それは体験したことはありません。
▽ じゃあ、厚着をして行くのですね?
==建物の中や地下鉄などはどこも暖かです。一般の家庭はもちろん、劇場も美術館もデパートも、セントラルヒーティングの暖房で快適です。だから、下着の厚着をすると、建物の中では汗をかいてしまい、不快になります。
私も最初は、日本の冬の感覚で、下着を厚くしたけれど、それよりも上着と防寒小物で調節することが大事です。
衣服は、健康のためにも、またロシアのマナーとしても、建物の中と外の区別をつけることが必要です。
小寒いからと部屋のなかで、外で着るコートなどを羽織るのはダメ。逆にちょっとだけ外へ出るのに、部屋着で出るのもダメ。寒くて出られないけれど。
▽ 防寒小物でおすすめは?
==帽子は、暖かくって耳もおでこも隠せるものを。手袋も、お忘れなく。指先が冷えるとつらいです。
靴下も大事です。私は、毛糸靴下を普通の靴下の上に重ね履きで、暖かくしています。暖かいマフラーやスカーフもお忘れなく。
▽ 雪はどれくらい積もっているの?
==モスクワはさほど雪は降らないらしいが、どかっと降る時もあるとか。冬はいつも雪が降ったり、舞ったりしています。モスクワの雪はサラサラで、歯ブラシの巨大化したような雪払いグッズをみな車に積んでいて、車に積もった雪をさらさらっと、はらっています。
モスクワ市内であっても地域差が大きく、都心部で積雪がそれほどでなくとも、、地下鉄で30分ほどの、ユーゴザーパド地域では、30センチくらい積もっていたこともありました。
靴は除雪剤や氷ですごく傷みます。暖かく歩きやすく滑らないもので、革が傷んでも惜しくないものを履くとよろしいかと思います。
▽ 夏は、涼しいでしょうね?
== 日本あの暑さではありませんが、モスクワも暑いときは暑いです。なによりも空気が乾いているので、日本の暑さに慣れた身体には、良かったり、悪かったり…。
夏の盛りでも、一日の気温差が大きく、ときに冷たい風がさっと吹いたりします。薄手の上着が重宝します。7月なのに雨が降ってひんやり寒い経験もあります。
▽ モスクワは遠いところと思うのですよ。
==成田から10時間で着きます。スイスジュネーブには12時間もかかって、疲れてしまったことがあります。その差の2時間は大きい。
アエロフロート機では、昼食1回と軽食1回、映画の上映もあり。本を読みながら、一眠りしたら10時間で着きます。でも飛行機の中の過ごし方は人それぞれです。私は眠ることにしています。
▽ 距離よりも諸手続きがややこしいようですね?
== たしかに、ビザ申請には、「行く日帰る日、乗る飛行機、泊まるホテル」などを日本からすべて決めなければなりません。私は、いつもロシア旅行の専門会社に頼みます。時間的余裕が必要ですから、早め早めに手続きを進めていけば、柔軟に対応でき、大きなトラブルもないかと思うのですが。
▽ ロシア語ができなければ行くことは難しいですか?
== こればかりは、一言で応えられない。通訳を雇っていっしょに旅をして、言葉は不自由しない旅だったが、通訳に気を使ったり、予想外の出費があったりという旅と、言葉は不自由しても、出会った人たちに助けられて、喜んだり、恥もかいたり失敗もしたりしても、伸び伸びと楽しむ旅と、どちらを自分は選ぶかでは、ありませんか。
モスクワでは英語も他言語も、ほとんど通じないようです。日本語も通じない。もちろん、それらを知っている人に出会えば幸運です。
私のロシア語は、体当たりロシア語ですから、自分に向かって言われているだろうことを予測して、それがたまたま当たる回数が多かったというものです。「大いなる想像の世界」で遊んでいるようなもので、楽しいものです。さっぱりわからないこともいくつもあります。何とかなっています。
▽ モスクワの空港は評判が悪いようですが?
==私はソ連時代と時代転換期の時期は知りません
到着ロビーの蜂の巣のような天井と、照明が間引きしてあるのか?デザインなのか? あの薄暗さは、「ここはモスクワですよ」の印象付けのためかと、思います。
でも、行く度に、シェレメチボ2空港は、明るくなっていますし、案内表示も多くなってきました。売店やレストランも賑やかです。
ただ、空港から都心部へ向かう公共交通機関の整備が未発達で、大きい荷物を持っていると、事前の車の手配とか、タクシー運転手との金銭折衝とか、それがややこしい問題です。モノレール計画があると聞いたことがあるけれど、さてどうなっているのでしょうか?
▽ 車社会ですね?
==そう思います。
日本人から見れば、道路は広すぎるほど広い。6車線くらいの広い広い道路が、大渋滞になっているのを、反対車線から見て、めまいを起こしました。
都心部は駐車場が難しいけれど、ちょっと離れると、どこでも駐車場みたい。観光地周辺の静かな住宅街道路も、駐車場代わりなって、みんな平気で車を止めているし…。
車のことはあまりわからないけれど、車市場はいま、売れて、儲かってほくほくらしい。エッと驚くオンボロ車もだんだん少なくなって、日本の車の景色に近づいている。
モスクワの空気は汚れています。排気ガスが苦しいです。私はマスクを持っていきます。
▽ 公共交通機関も発展しているのでしょ?
==もちろん。モスクワといえば地下鉄ですが、網の目にようにはりめぐらされ、路線図を見ながら、どこの駅で降りるべきかを、車内で尋ねている光景も何度も見たことがあります。東京もそうですね。
地下鉄は乗車するときに料金を払えば、どこでおりても同じ値段です。
バス・路面電車・トロリーバスも朝早くから夜遅くまで、走っています。ただ、路線は旅人には難しいようです。
タクシーは、日本のように、わかりやすい「これがタクシーです」っていうものがあるのかないのか、知らない。地元の人たちは、道の端で手を上げて、止ってくれた車と、行き先や値段の交渉をしてまとまれば、それがタクシーとなります。言葉が出来てもこれは、なかなか勇気がいることですよね。
地下鉄
路面電車
トロリーバス
夜行電車
▽ 何度も行って恐い思いをしたことはないの?
==恐くってぞっとしたのは、おかげさまでまだ経験していません。これからも経験したくありません。車に乗っているときに、雪道で追突しそうになったことは、あった。運転手が「アワアア〜〜」って、叫んでハンドルを切って助かった。もし、あそこで事故に遭っていたら……、あら、ぞっとした経験はありました。
▽ じゃあ、モスクワおすすめポイントはどこですか?
==「赤の広場」。私は大好きです。あそこに立つと足の下からなにかエネルギーがもらえます。夏ならば「モスクワ河クルーズ」。船の上からながめるクレムリンや教会の美しいこと。冬ならば、うーむ、みんなきれいです。
なにより、冬は劇場へおでかけください。観客席でロシア人に囲まれて、熱い観劇エネルギーを十分に感じ取ってください。もちろん俳優の演技のすばらしさも、ご覧ください。言葉がわからなくとも、心の奥深く入り込んできます。
▽ ボリショイ劇場ですか?
== ボリショイ劇場は、ロシアのお金持ちと(ロシアからみた)外国人が行く劇場となってしまったようですが。
モスクワは街中に大小の劇場が、たくさんあります。ボリショイだけが劇場ではありません。
▽ ユーゴザーパド劇場ですね。
== もちろん、おすすめします。ただ、都心部から地下鉄で30分、歩いて10分という距離は、終演後の遅い時間のことを考えておいてね。
小劇場ですからチケットの当日券が手に入いるかどうかもあります。
▽ お金は ロシアはルーブル。
== 日本では交換できないルーブルですから、ドルかユーロで持ち込み、ロシアで両替します。モスクワでは、両替所により微妙に交換比率に高低差があって、モスクワ市民は、「ここはダメ」「あそこが良いよ」と敏感です。両替所が多くありますから、旅行者は両替では困らない。カードも使えるところは使えます。
ユーロがだんだん入り込んできていることを実感します。高級品店とか空港内とか、値段表示が、ドルかユーロかルーブルかなどの表示には気をつけて。
でも、物の値段がいろいろになっています。町の中心部は何でも高い。と、言って町外れの市場は安いか?と言えば、どうでしょうか?私にはわかりません。
市民の生活は貧富の差が大きくって、高級レストランでビジネスをするロシア人も多くいれば、道で物乞いをする人たちもまた多くいます。
日本も残念ながら安全な生活も脅かされていますが、モスクワも事件、事故が多くあり、十分に気をつけるべきですね。旅のあいだは、私もときどきぼんやりしてしまうので、気を引き締めておかねばならない。
▽話はかわって なぜ、シューラっていうのですか?
ロシア人の名前は難しいからロシア文学は苦手と言う人もいますね。
== 人の姓名は、文化・歴史・民族・流行などなどいろんな要素があり、研究家もたくさんおいでになる。文献もいくつもあるので、くわしいことはそのようなページへおでかけください。ここでは、簡単なことにします。
私のお気に入り俳優 シューラの正式な名前は
Горшков Александр Вячеславович
ゴルシュコフ アレクサンドル ヴァチェスラバビッチ
苗字 名前 父称(ふしょう)
私たちにはなじみがない、父称があります。「おとうさんの名前」です。
「父称」は、お父さんの名前に ビッチをつけて男性形、女性形は ブナ をつけます。でも、
俳優の名前表記には、父称をつけません。
「苗字」は ゴルシュコフは男性、女性はゴルシュコワ です。夫婦で苗字の呼び方が違うのですが、よび方(あるいは表記)だけで夫のことか妻のことか、娘か息子かとかがわかるのが、おもしろい。家族全員ならば複数形 ゴルシュコビイィ となります。
ゴルシュコフ家の男性で、ヴァチェスラフの息子のアレクサンドル というわけです。
ロシアでも、どこでも、正式な名前とは別の愛称をよぶ風習があります。日本でも「愛子」さんを「あいちゃん」「あーちゃん」と、呼びやすく、可愛い表現に言い換えてよび、親しい間柄ほどそれは許されます。
ロシアも同じことですが、日本よりも、もっと深い意味もあり、日本には、ない、公式愛称も存在しています。
以下ほんの一例を載せます。
男性の名前
愛称形
アレクサンドル Александр シューラ Шура
・
サーシャ Саша アーリャАля など
アレクセイ Алексей アリョーシャ Алеша ・アリョーカ Алека
アンドレイ Андрей アンドリューシャ Андлйша
アンドリクАндрик
ビクトル Виктор ビーチャ Вйтя
ヴラジミール Владимир ヴァロージャ Володя・ ボーバ Вова
ドミトリー Дмитрий ジィーマ Дима ・ミーチャ Митя
イワン Иван ヴァ―ニャ Ваня
イリヤ Илья リュ―シャ Люся
ミハイル Михаил ミーシャ Миша
パーベル Павел パーリャ Паля
セルゲイ Сергей セリョージャ Сережа
女性の名前
愛称形
エカテリーナ Екатерина カーチャ Катя カチューシャКатюша
エレーナ Елена レーナ Лена ほか
エリザベータ Елизавета リーザ Лоиля
マルガリータ Маргарита リータ Рита
イリ―ナ Ирина イーラ Ира
マリヤ Мария マーシャ Маша ・ シューラ Шура
ナタリヤ Наталия ナターシャ Наташа
アクサーナ Оксана クサーナ Ксана ほか
パリ―ナ Полина ポーリャ Поля
ソーフィヤ Софья ソーニャ Соня
タチヤーナ Татьяна ターニャ Таня
ほんの一例です。また、ロシア語読みがカタカナでうまく表現できない微妙な部分もあります。
上記のように、アレクサンドル Александрと言う名ですから
シューラ Шура とよびます。 家庭や近所の人や友人たちは サーシャ Саша とよんでいます。
シューラは私に言いました。「劇場ネームは、シューラです。だからシューラとよんでください」。
ご本人がそのように呼ばれることを希望している。
それに応えることが一番失礼がないことだと思います。
日本人感覚で「失礼」だからと、苗字のГоршков ゴルシュコフさんといつまでもおよびしたら、「この日本人は僕にこころを開いてくれない」とか「親しくなりたくないのだ」と思われます。
でも、逆にいきなり、名前や愛称でよびかけるのも失礼なことです。プーチン大統領に対して、名前の「ウラジミール」と、何度も公式の場で発言したという、わが国の元首相がいます。相手をどのように呼ぶのかは、どこでもとても微妙な人間関係です。十分に注意をしなけばなりませんね。
シューラは、最初私を呼び捨てにしていました。日本人感覚では「呼び捨て」ですが、彼らはそれが日常の普通のことです。でも、私は彼に言いました。
「日本人をよぶ時は、必ず
○○
さん
と言ってください。○○とよぶことができるのは、親と兄弟と伴侶だけです。『
さん
』はとても大事な言葉ですから」。以降、シューラは必ず、誰を呼ぶのにも、ロシア人をよぶのにさえ、「
さん
」をつけて呼びます。
おまけ Горшков ゴルシュコフ とは、「つぼ・鉢」の意味で、ゴルシュコフは、日本語でよべば、つぼいさん ですね。